高齢者住宅の展望

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)をはじめとする「高齢者住宅」を取り巻く経営環境は、決して明るいことばかりではありません。

稼働率が上がらず賃料収入が安定しないサ高住も少なくなく、しかも併設施設に対する国の風当たりが強くなっているからです。

つまり、介護保険事業の中立性や公平性に欠ける併設施設があることで、報酬の減算を余儀なくされる方向に動いています。

ただ、ここで共通して言えることは、そのビジネスモデルが介護保険に依存している「高齢者住宅」であることです。

介護報酬がますます厳しくなる昨今、同調して高齢者住宅の経営も苦しくなります。

内部環境の悪化に加え、地域には競合が増え、入居者の獲得競争も激化し、ますます外部環境も悪化していきます。

そんな中、イノベーションの成功事例で取り上げた「高齢者住宅」は明るい展望を示しています。

『健康増進型』とも言えるこの「高齢者住宅」では、介護保険に依拠しない事業としてフィットネス事業や栄養管理に長けた食事サービス事業があります。

地域に開かれたこれらの併設施設は、高齢者の健康寿命の延伸を目的とし、そのご家族や近隣のファミリー世帯、子供たちにも開かれた多世代交流を可能とします。

世の中の介護サービスの潮流が「自立支援」に変わります。

これからの「高齢者住宅」は、高齢者が健康な状態を維持しながら生活できる住まいであるべきで、建物や空間、そして設備といったハードと健康増進や介護予防、認知症予防などのソフトが両輪となって機能する「高齢者住宅」が求められます。

倉田@都市施設

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